認知症よもやま話

認知症よもやま話

前回まで3回は、認知症のひとと暮らしのエピソードをテーマにしてみました。
今回は、趣向を替えて、認知症の生活支援にかかわる職種の話をしたいと思います。認知症の人に寄り添い、支える活動を行っている職種の人はたくさんいます。それぞれが国家資格を持った専門職ですが、何をしているのか、どうつきあったらいいのかわかりにくいところもありますね。
なので、簡単ではありますがこんな風ですというところを書いてみます。
題して、「認知症に関わる職種 その1」

その8認知症に関わる職種 その1

  1. 1.看護師さん

  2. 筆者(昭和31年生まれ)の年代の人は、看護師さんというと病院の中で白いナースキャップをかぶって、医師の額の汗を拭いたりしているところを想像しますが、今の看護師さんのリアルは違います。認知症との関連で重要なのは、「訪問看護」です。文字通り、自宅や介護施設に出向いて患者さんの看護を行います。業務内容は多岐にわたります。血圧や体温測定、床ずれ処置、さらには点滴といった医療行為を行うほかに、飲んでいる薬の管理や指導、リハビリテーションまでも行ってくれます。ほかに重要なものとして、患者さん本人の精神的支えとなって話を聴いてあげたり、ご家族の対応アドバイスなどもおこなうなど実に多岐にわたって活動しています。業務内容は医師の指示書に指定されていますので、かかりつけの先生に指示書を作成してもらう必要があります。

 

  1. 2.介護士さん

  2. 介護士さんは施設にもいますが、ここでは「訪問介護」についてお話します。訪問看護が「医療行為」をおこなう職種であるのに対し、介護士さんは「生活支援」をおこなう職種です。生活支援は、具体的には食事、入浴、排泄の介助、掃除、洗濯、買い物、調理、通院の付き添いなどの生活援助で、薬の管理などはできません。また、介護保険で運用されているので、介護認定を受けていることが求められます。介護の内容は、次にでてくるケアマネジャーさん、本人、家族を交えた話し合いで決めていきます。

 

  1. 3.ケアマネジャーさん

  2. ご存じの人は多いかと思いますが、まったく知らない人もまだたくさんいますので詳しく説明します。ケアマネジャーは、介護を必要とする人やその家族に対して「ケアプラン(介護サービス計画)の作成」を中心に、サービス調整や相談支援などを業務としています。ケアマネジャーに関わってもらうためには、介護認定を受けなくてはなりません。そこで、「要支援」とか「要介護」とかに認定されて、はじめて付き合いが始まります。ケアプランとは、介護を必要とする人の必要度(介護度)に応じて、使えるサービスを選び、施設選びや日程調整など細かく配慮するものです。ケアマネジャーを選ぶのは本人、家族ですが、方法はいくつかあります。方法と注意点を表にしました(作成にはAIの助けを借りています)。選定の際には、本人の希望もよく聞いてくださいね。

 

ケアマネジャーを選ぶ方法

方法 内容 ポイント
居宅介護支援事業所に依頼 訪問介護・訪問看護などを運営する法人がケアマネを配置 各地域に多数あり、自由に選べる
地域包括支援センターに相談

高齢者の総合相談窓口。要支援認定の人は包括のケアマネが担当

認定前の段階や相談から入るのに適している
施設入所の場合 特養や老健などには「施設ケアマネ」が配置 入所者はその施設のケアマネが担当
市町村の紹介 市区町村の介護保険課に相談 中立的な立場で事業所を案内してもらえる
医療機関・知人からの紹介 病院の医療ソーシャルワーカーや家族・友人の口コミ 実際に関わった人の意見は参考になる

 

ケアマネジャーを選ぶときの注意点

視点 確認すること 注意点
中立性 特定のサービス事業所だけを強く勧めないか 自社サービスへの誘導が強すぎないか
コミュニケーション力 利用者や家族の話をよく聴いてくれるか 高齢者本人の気持ちを尊重してくれるか
説明力 制度やサービス内容をわかりやすく説明してくれるか 専門用語ばかりで理解できない説明は要注意
対応の早さ 困ったときの連絡にきちんと応じてくれるか 担当件数が多すぎて対応が遅れる人もいる
継続性

事業所の規模や体制に安定感があるか

小規模事業所は異動や退職で担当交代が多いことも
相性 家族や本人と性格的に合うか 合わない場合は変更可能(市町村に届け出れば変更できる)

 

長くなりましたので、今回はこれにて終了します。認知症に関わる職種はまだまだありますので、次回以降、順次紹介していきますね。

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